訪問看護ステーションを設立・開業して1周年を迎えることができました。
この1年間は、本当に学びの連続でした。常に考えながら走ってきたというのが実状です。
訪問看護の仕事は労働集約型で公定価格の産業です。経営学をかじった者としてこの産業構造をみた場合、組織が単体で利益率を上げるには、数をこなして固定費(人件費など)を削減する以外の方法はありません。
業界のトレンドは、大規模ステーション化の流れにありますが、そこにも一定の困難さが伴うように感じています。大規模化による人件費の増加は、管理コスト全体を増大させることを意味するためです。
そのため私たちのステーションは、高収益や大規模化に関する目標は最初からありませんでした。
大切にしてきたことは自由な経営方針と、それを担保できる永続性(つぶれないこと)。
看護師として経営方針を決めることができるため、良いケア・良い看護を維持することから逆算して、広報・看護内容・関係者との関係づくり・組織文化作り・収益構造などをより誠実に構築することができます。
ありがたいことに、2023年7月~2024年6月までの訪問看護の実績として
・利用者さまのうち、がん患者さんが62%
・その中の42%が通院治療中の方、54%が終末期の方
病院の連携室、在宅療養支援診療所の先生方、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネジャーの皆様の当ステーションに関するご理解の上で、私たちの専門分野を中心にご紹介をいただくようになりました。
そして、もう一つ私たちの専門分野となりつつある分野が、「難しいケース」という分野かもしれません。
こちらは全く意図していなかったのですが、がん看護で培われたNBM(Narrative Based Medicine)という、語りや対話に基づくケアの姿勢が役に立っているのではないかと思われます。
いわゆる「難しいケース」には、医療面での難しさの他に、病気に対する考え方や医療関係者との関係性に関する難しさがあります。私たちは普段から、管理する者あるいは邪魔する者ではなく、応援する者や理解する者として患者さんに認識していただけるよう取り組んでいます。おそらくそういった基本的な姿勢が、何かしら役立っているのかもしれないなと感じています。
とは言え、まだ始まったばかりです。今後も学び続けたいと思います。
そして、いつも通りですが、硬い文章にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
(賢見卓也)