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日本緩和医療学会で登壇しました

2024年6月14・15日に神戸で行われた日本緩和医療学会・日本サイコオンコロジー学会 合同学術大会で登壇いたしました。

 

テーマは「オピオイド持続注射を安全に効果的に使うための訪問看護師による工夫」というお題をいただきました。

オピオイド持続注射薬の扱いについては、在宅ホスピスケアをはじめる2007年よりも、少し前、2002年ごろからです。
当時、勤務していた東京女子医大病院の中央集中治療室で、術中からのIV-PCAの導入のために麻酔科の医師から声をかけていただき、各部署との連携体制作りや看護師向けのマニュアルを作成したのが最初でした。

2007年訪問看護を開始してからも、墨田区にあった訪問看護パリアンでは、IV-PCAを頻繁に使用していたため、内服薬を飲むのが大変な患者さんに対する確実な対処方法として、その効果を実感していたものでした。

当日は会場からのご質問やご意見も多く、活発な意見交換がなされました。率直な印象として、オピオイド注射薬を使い慣れている部署とそうでない部署の差が大きいのではないかと感じています。

 

挙がった質問の中で特に感じたことは「病棟ならでは」のローカルルールの縛りが強すぎることでした。

麻薬管理は厳重であるべきであることには異論がないのですが、そのルールは「悪用に対する管理」であるべきで、既に投与を開始している患者に対しては迅速に、十分に使用しても良いように感じています。20年前の病院勤務の時代からIV-PCAの本来のコンセプト通りにやっていると、おやおや・・・と思ってしまいました。

 

 

では、在宅ではそれができているのか?訪問看護ではそれができているのか?

 

答えはYESではないかと思います。
ひどい痛みを感じたまま自宅で過ごすことは相当な忍耐力が必要です。そのようなことがあったら、みなさん救急車を呼んで入院するという選択をするでしょう。

逆に、もし患者さんを苦しませる状態を放置していたら、ご遺族は黙っていられないでしょうから、地域にネガティブな口コミが浸透してしまいます。最終的にその医療機関の評価はしかるべきものになるでしょう。

 

訪問看護をはじめたころ「患者の苦痛緩和でオピオイドの使用を躊躇してはいけない」という川越厚先生の教えを改めて思い起こす機会になりました。(賢見卓也)