がん治療と訪問看護「外来看護」

がんの治療は体調が良いときに病院に行って、自宅に帰ってきて副作用や不安を体験します。

 

外来で診察している医師は、自宅であなたの体調がどのように変化し、どんなつらさを体験しているのか把握するのが精いっぱい。そして、つらい体験談を把握しつつも、「治す」という役割を果たすためにどうやったら治療を続けることができるかを考えるようです。

 

では看護師は?

残念ながら外来化学療法室以外で病院の外来で看護師に出会うことはあまりないでしょう。厚生労働省が決めた看護体制によって、多くの看護師は病棟で仕事をしているからです。

 

とは言え、各病院にヒアリングを続けていると、一部の先進的な病院では「専門看護師」が外来で効率的に把握できるよう配置し仕組みとして対応していました。主治医が把握しきれない、つらさを抱えている患者さんを看護師が積極的に拾いあげられるように取り組んでいました。

 

そのような先進的な取り組みは、病院においてバックヤードの改革となるため、あまり表で語られることはありません。地道な取り組みはもっとクローズアップされ、たくさんの病院で真似してもらいたいのですが大きな組織では簡単ではないのでしょう。多くの病院の看護部は十分な予算が与えられていないそうです。(投資の対象ではないらしい)

 

ビジネス用語にコストセンターとプロフィットセンターという言葉があります。

簡単に言えば、コストセンターとは収益を生まない部門や業務であり、プロフィットセンターとは利益を生む部門や業務のことを指します。経営者からすれば看護部の扱いはコストセンターなのかもしれません。

 

病院経営者のみなさん。優秀な看護師を病棟ではなく、外来で自由に仕事させてみてください。

少し待てば間違いなくプロフィットセンターとして機能することでしょう。

 

がん治療の満足度は「外来看護」と「訪問看護」の分野で大きな伸びしろがあることに気づいていただきたい。

(賢見卓也)